2018年04月08日

ストレスコントロール(※長文)

ご無沙汰してます、へっぽこ妻です。
現在は夫婦で語学留学中。
普段なら海外に行くと「1に射撃」「2に射撃」「3、4勉強」「5に射撃」のような感じですが、今回はせっかく綺麗な海があるところだし、日本よりも格段に安い!ということで、ダイビングのライセンスにチャレンジしてみました。

始める前はなんとなぁく「酸素が出るやつを咥えて潜れば綺麗な景色が見られるのだな」と簡単に考えていたのですが、実はかなり大変!かなり怖かった!
私、初日のほんとに最初の方で1度ギブアップしちゃいました。
酸素が出るやつ(レギュレーター)を咥えて潜れば、水の中でも酸素が吸える。
それは間違ってないです、正しいです。
ただ「絶対に鼻で呼吸してはいけない(基本的にできない)」という条件付き。
これが、難題でした。
やったことない方は意外に思えるかもしれませんが、普段は主に鼻呼吸をしてるわけです。
意識して口呼吸にすることはもちろんできるんですが、それは何の制約もなく、死の危険も感じない状態だから気楽にできるのだと痛感しました。

ちょっとダイビングから話は逸れますが私は「ストレス訓練」みたいなのを受けたことがあります。
ストレス下でどのように平常心を保ち、できるだけ短時間で緊張状態を緩和していつもの自分の思考、行動力を取り戻せるようにするような訓練です。
また射撃の場合は、ある程度の緊張を持って集中して的を狙う必要があるのですが、これまた「実銃だから」と必要以上に緊張してしまうと力んでしまい余計な所に力が入って上手く的に当たりません。
田村装備開発さんで参加している訓練でも似たようなシチュエーションは何度か経験しました。
RBTは射撃精度の上達はもちろんのこと、平常時から緊張状態、緊張状態からわずかに緊張してる状態へと常に精神面をコントロールしていく訓練をしています。
また、ラペリングも同じ。
技術はもちろん、それ以上に大切なのは自分の恐怖心をどのように制御するか、どのように快適な状態(気分やコンディション、道具の状態含め)で降下するか。
私は初めてのラペリングの時、自分の恐怖心をなかなか克服出来ず、本格的な降下の前の低い壁でさえビビってしまい「これはやっちゃいけません」と言われていたことをやってしまって尾てい骨にヒビが入りました(^^;
また、本格的に高いところからの降下の際にも、教官、ロープ、自分自身のいずれも信じることができずなかなか降下できずに半泣きになりました(結局、グズグズしている間に姿勢を保つのが厳しくなり降りざるを得なくなって降りました(^^;)。
これらの訓練を通して、強いストレス下、恐怖心がある場合、自分が思っている以上に普段通りの考え方や行動ができない。ともすればパニックになることを学びました。
正確に言えば、学んだはず、でした。

で、話は戻りますが、ダイビングの話。
レギュレーターを咥えてそこから呼吸する。反対にいえば、そこからしか呼吸できない。
もしこれを外してしまったら、鼻から吸おうとしてしまったら、口を開けすぎて海水が入ってきてしまったら、、、海の中で呼吸が出来なくなるかもしれないという恐怖は思った以上でした。
日本の場合はまずは足のつくプールで練習、などあるようですがここは海外。激安ショップ。
実習はいきなり海です。
しかも満潮で、中に入るとすぐに足がつかなくなる。
元々海で泳ぐのがあまり得意ではない私は、波をかぶる度にアップアップ!
ジャケットを来てタンク背負ってレギュレーターの使い方を説明して「はい、じゃ10秒顔をつけて水の中で息してみましょう」「みんなできましたね、じゃぁ深いとこ行くよ~。フィンつけてね~(実際はもうちょい色々やりましたが、それでも20分くらい?)」で、沖に。
「じゃあみんなでもぐりますよ~」で潜ってみたら、、、やだ!息苦しい!ってかエアが出てこない!!
慌ててインストラクターに「酸素がない!」の合図をするけど、インストラクターは私のエアー量を見る計器を見て首を傾げる。
エアーの量は充分にあると示されている。
そうこうしている間に吸えない恐怖でパニックになり水面でもがく!
インストラクターがエアーの供給バルブが閉まっていることに気づいて開けた。
エア、出る~!
「はは、よかったね!じゃも1回行こうか」
で、再度潜航したけれど、なんだかどうにも息苦しい気持ちがする。
エアは出てるのに。
口からしか吸えないことが物凄いストレス!鼻からうっかり吸いそうになり、息出来ない!
あ、やばい、パニックになる。
直感で思い、パニックになって訳わかんなくなる前にインストラクターに「上がりたい」の合図。
水面に浮上したあと「どうした?何があった?」と聞かれたけど「息苦しく感じてパニックになりそうだから。このままだと他の人(他に7人いた)に迷惑をかけるのでギブアップします」と伝えました。
で、初日はギブアップ。
オープンウォーターライセンス、いわゆるCカード取得には最低2日のレッスンと規定時間、規定本数潜ることが決められています。
翌日に挽回できなくはないけれど、、、ダイビングショップのオーナーさんは帰りに料金を返金すると言ってきました。
その理由は、ダイビングで問題になる点は人それぞれいくつかあって、多いのは「耳抜きができない」「マスククリアができない(怖い)」そして「呼吸が上手くできない」です。
特に「呼吸ができない」というのは致命的とも言えるらしく、これでパニックになった人はたいていがその時点でギブアップ、再チャレンジしないか、しても数ヶ月や数年後らしいです。
「呼吸が上手くできない」と思うことがなぜ致命的なのかというと、耳抜きやマスククリアと違い「死を連想させる」ので、その恐怖心はトラウマと言っても過言ではないそう。
日本のように日本語で、まずはプール(塩水じゃない、多少飲んでもつらくない、視界が良い、波や海流がない)でしっかり学べばまた違うのかもしれませんが、海外でライセンスを取ろうと思った人が挫折するのは、この「死を連想させる恐怖」を簡単に克服できないためです。
水深10メートルの海中で「息ができない!」と思ったら、そりゃパニックにもなります。
素潜りだと最初からわかってやってれば良いのでしょうが「エアは充分来るはず」と思ってるんです。
でも慣れない海中というシチュエーション、身体にぴったりフィットしてるドライスーツ、慣れないフィン、水深と比例する水圧。
充分なはずのエアも、小さいレギュレーターから吸い込まなければならず、ドライスーツや水圧で多少圧迫感もあって、吸いにくい感じがする。
否応なしに身体も心も緊張状態になっているわけです。
この「死の恐怖」を感じてしまった人はたいてい克服できず諦めるから、返金する。もしまたやりたくなったら、その時はいつでもきて。とオーナーさんは言ってくれました。
しかし、私は出来ないと思いたくなかった。
既にオープンウォーターのライセンスを取っていた夫が「これは田村とかでやってるストレス訓練やラペリングと一緒だよ」と言ったことで、何とか一晩でマインドセットをしようと思いました。
で、返金を断り、帰宅してからひたすら「ダイビング 口呼吸 コツ」「口呼吸 苦手 克服」などのキーワードでググり、ダイビングの呼吸は「吸うことより吐くことを意識する」「レギュレーターからの吸い込みは、ストローを吸うようなイメージで」などいくつかわかりやすい説明を見つけました。
あとはマインドセットです。
ひたすら口呼吸の練習をしながら、パニックにならないように気持ちを落ち着けるイメージ、息苦しいと感じたら深呼吸をする、万が一本当にエアが途中で切れた場合のイメトレもしました。
ラペリングやRBTの時の緊張感、それを落ち着かせるためにどうしてた?
過去の様々な困難を思い出してはどのように対処したかを考えました。
そして「私は、出来る!」と信じて翌日も参加。
最初オーナーさんは心配して、他の参加者より30分早く海に連れてってくれてマンツーマンで潜る練習をしました。
イメトレをしていたおかげで呼吸は全く問題なく、ゆっくりと綺麗な海のダイビングを楽し無ことが出来ました(*^^*)
オーナーさんはすごく驚いていて「絶対今日は来ないと思っていた。AMAZING!」と繰り返してました。
その後は他の参加者と合流し、規定通り2日目のトレーニングを終えました。
インストラクターさんにも「呼吸でトラブルやパニックを起こした人はたいていそれがトラウマになってやめてしまうのに、たった一晩で克服したのはすごい!なんで?方法があるなら今後の指導の参考にするから教えて!」と言ってくれたのですが、さすがにTTCでのトレーニングの説明は難しいので「ネットでダイビングの呼吸のコツを調べまくった」とだけ伝えました。

長々とダイビングの話を書いたんですが、つまり何が言いたいかというと、ストレスをコントロールする訓練ってすご~く大事だってことです。
地上での訓練はもちろん大事で色々なシチュエーションを想定すればかなり幅広いストレスに対応できると思うけど、ラペリングなどの「高所からロープを使って自分の力だけで降りる」とか「空気のない水中で不自由な中でもリラックスできる」とかそういうリアルに「死」を連想させる環境に身を置いてみることもすごく良い経験だなぁと思いました。
ラペリングとダイビングに共通して言えるのは恐怖心の克服、マインドセットと、あとは自分の身体の使い方を知ることです。
身体のパワーバランス、リラックスの仕方(高所でロープに捕まってる状態でも、水の中で心細いレギュレーターを咥えている状態でも、身体の力を抜いてリラックスできるしその方法)を知ることができます。
普段は、自分の身体なのに本来持ってる何パーセントかしか使えてないということに気づきます。
それをいかに100%に近づけていくか、自分の意思で思うように動かせるかは訓練するしかないのだと思います。
そのために身体と精神が連動していることを認識できる体験が必要なのかも。
当たり前に出来てるつもりでも、意外と強いストレス下や不自由な環境に置かれると思うように動かないことに気づくかもしれません(*^^*)





Posted by 咲良レイ  at 22:27 │Comments(0)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。